犬猫の消化器系の手術

消化器系の手術とは

犬猫の消化器系外科は、口腔、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓などの消化器官に生じる疾患や外傷に対して、外科的手技によって診断・治療を行います。
異物誤飲、腸閉塞、胃拡張捻転、腫瘍などに対し、速やかな外科処置で治療します

消化器系の手術の例

どの手術でも、必ず術前診断を行います。細胞診、生検、画像診断(超音波やレントゲン)で腫瘍の広がりや転移を確認します。

疾患 手術内容
腸閉塞(異物誤飲) 異物摘出・腸管切開または切除
胃捻転症候群(犬) 胃の整復+固定(予防の胃固定術も)
消化管腫瘍 腫瘍部分の切除・再建手術
肛門腺膿瘍・肛門周囲腫瘍 切開排膿または切除術

術中・術後に関しても、感染防止、適切な鎮痛管理、自己損傷防止のエリザベスカラーの装着することで、リスクをコントロールします。

犬の症例別アプローチ例

疾患名 特徴・対応・術後管理
消化管閉塞(異物など) 様々な異物による腸閉塞で、嘔吐や腹痛、無排便が主な症状です。

  • 腹部エコーやレントゲンで診断します。
  • 開腹手術で異物を除去し、必要に応じて腸切開や腸切除吻合を行います。
  • 術後は腸管癒合不全や感染予防を重点的に管理します。
消化管腫瘍 腺癌やリンパ腫が多く、腸閉塞や出血の原因となります。

  • 腫瘍部分の切除および腸吻合を行います。
  • リンパ節郭清を併用することもあります。
  • 術後は抗がん剤などの補助療法を検討します。
胃拡張・胃捻転症候群(GDV) 大型犬や深胸型犬種に多く、急激な胃の拡張と捻転により生命の危機をもたらします。

  • 緊急開腹手術で胃の捻転を整復します。
  • 胃固定術(胃底固定術)を同時に行い再発防止を図ります。
  • 脱水やショックの管理が重要です。
  • 術後は集中治療が必要で、経過観察にて合併症に注意します。

猫の症例別アプローチ例

疾患名 特徴・対応・術後管理
消化管閉塞(異物、腸重積など) 猫は異物誤飲や腸重積が比較的多いです。

  • 腹部超音波やX線で確認します。
  • 開腹手術で異物除去や腸切除吻合を行います。
  • 術後は猫の消化管癒合が遅いため、慎重な管理が必要です。
腸リンパ腫 猫で多い消化管腫瘍で、慢性消化器症状を示します。

  • 腫瘍部の切除は限定的で、化学療法との併用が基本です。
  • 術後は抗がん剤治療計画の立案と継続的なモニターが重要です。
口腔内外傷・腫瘍 猫は口腔内腫瘍や外傷も多いです。

  • 腫瘍摘出や組織再建、抜歯などの手術を行います。
  • 術後は疼痛管理と食事管理が重要です。

消化器手術の特徴と注意点

消化器系の手術の特徴

  • 犬猫ともに緊急性の高い疾患が多いです(特にGDVや消化管閉塞など)
  • 消化器系の手術は消化管の機能温存と漏出防止が重要です
  • 肝胆膵の手術は高度な技術と専門知識を要するため、総合病院で受診お願いします

術前・術後の注意点

  • 術前評価に画像診断(超音波、X線、CT)が欠かせません。
  • 術後管理:感染予防、抗菌薬投与、エリザベスカラー装着による自己損傷防止など必要です
  • 全身麻酔が必要になるため、高齢・基礎疾患のある動物では慎重な麻酔計画が必要です

手術設備・入院設備

当院では、外科手術を必要とする症状でも、院内で対応できるように様々な医療機器・設備を整えています。

院内に手術室を設置

専用の手術室を設け、滅菌設備、無影灯、専用手術台、麻酔モニタ、麻酔器・気化器・人工呼吸器など、手術に必要な設備を整えています。十分な検査の後にこちらで手術を進めます。

入院設備・ICUを導入

処置後・手術後に安静に回復を図れるスペースとして、専用の入院ケージをご用意しています。また、酸素濃度・温度の調整可能で、治癒力を高められるICU設備も導入しています。

ドクター・院内の様子

経験豊富な医師が担当

当院の獣医師は、10年以上の臨床経験を持つ経験豊富な医師です。
様々な症状を自院で対応したり、外科経験を活かすのは勿論、動物・飼主様に優しく丁寧な施術・接客をご提供致します。

綺麗な院内、サロン・ホテルも併設

当施設は、トリミング・ホテルが併設して病院とも連携しているので、お預かりの際は動物の体調や皮膚の状態など合わせて見させて頂きます。
一つの施設で完結するのでぜひご利用下さい。

ご案内(一次診察&紹介)

当院では、整形外科に関しての医療設備が整っていないため、1次診療のご対応になります。

お気軽にご予約ください。

Tel: 03-6712-7062

診療時間:10:30〜13:30、14:30〜19:30

※予約は診療30分前に締め切りとなります

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