犬猫の皮膚・皮下組織の手術

皮膚・皮下組織の外科とは

犬猫における皮膚・皮下組織の外科とは、皮膚や皮下脂肪、結合組織などの表在組織に発生する腫瘍、外傷、感染、炎症性疾患、先天異常などに対して、外科的処置(手術・排膿・縫合など)を行います。
腫瘍や外傷、膿瘍など皮膚トラブルに対して切除・縫合・洗浄などを行い、感染や機能障害を防ぎます。

皮膚・皮下組織の手術の例

どの手術でも、必ず術前診断を行います。細胞診、生検、画像診断(超音波やレントゲン)で腫瘍の広がりや転移を確認します。

主な疾患 内容
皮膚腫瘍 良性/悪性問わず、早期切除が望ましい
傷・外傷 咬傷、交通事故、裂傷などの縫合
膿瘍・皮下膿瘍 感染部位の排膿と洗浄、必要に応じて切除
熱傷・褥瘡 壊死組織除去・皮膚移植など

術中・術後に関しても、感染防止、適切な鎮痛管理、自己損傷防止のエリザベスカラーの装着することで、リスクをコントロールします。

犬の症例別アプローチ例

病名 特徴・診断・治療・術後管理
脂肪腫(良性脂肪腫)
  • 特徴:高齢犬に多いです。皮下に柔らかいしこりがあります。
  • 診断:触診や細胞診で脂肪細胞の存在を確認します。
  • 治療:
    • 症状がなければ経過観察も可能です。
    • 大きくなったり圧迫症状があれば外科的切除を行います。
  • 術後:縫合部のテンションに注意します。再発はまれです。
肥満細胞腫(悪性腫瘍)
  • 特徴:多彩な臨床像があります。皮膚表面が赤く腫れたり、潰瘍化します。
  • 診断:細胞診や組織生検を行います。グレード分類が治療方針の決定に重要です。
  • 治療:
    • 広範囲切除を行い、腫瘍周囲に十分なマージンを確保します。
    • 場合によりリンパ節郭清や化学療法、放射線治療を併用します。
  • 術後:定期的なフォローアップが必須です。
外傷(裂傷・咬傷など)
  • 特徴:交通事故や咬傷による創傷です。細菌感染のリスクが高いです。
  • 処置:
    • 傷の洗浄やデブリードマン(壊死組織除去)を行います。
    • 必要に応じて排膿ドレーンの設置をします。
    • 皮膚縫合は感染コントロール後に行うことが多いです。
  • 術後:抗菌薬投与やエリザベスカラーの装着を行います。

猫の症例別アプローチ例

病名 特徴・診断・治療・術後管理
咬傷後の皮下膿瘍
  • 特徴:猫は咬傷後に皮下に膿瘍ができやすいです。
  • 診断:触診で腫瘤、痛み、発熱を確認します。
  • 治療:
    • 積極的な切開排膿が基本です。
    • 膿瘍嚢をしっかり開放して洗浄します。
    • 抗菌薬投与とともにエリザベスカラーで自己損傷を防止します。
  • 術後:経過観察を行い、再発時は再度切開します。
肥満細胞腫
  • 特徴:猫の肥満細胞腫は犬より悪性度が低いケースが多いですが、深部型は予後不良です。
  • 診断:細胞診や組織生検を行います。
  • 治療:
    • 表在型は局所切除で完治することも多いです。
    • 深部型は広範囲切除や追加治療を検討します。
  • 術後:経過観察と必要に応じて追加治療を行います。
皮膚組織球腫
  • 特徴:若齢猫に多く、良性で自然退縮することもあります。
  • 治療:
    • 大きくなった場合や生活の妨げになる場合は切除します。
    • 小さい場合は経過観察が可能です。
  • 術後:再発は稀です。
外傷・裂傷
  • 特徴:猫は皮膚が薄いため縫合が難しいこともあります。
  • 処置:
    • 壊死組織を適切に除去します。
    • 皮膚のテンションを考慮し、場合によっては皮弁や移植を検討します。
    • 過度なテンションは縫合不全のリスクがあります。
  • 術後:抗菌薬投与やエリザベスカラーの装着を行います。

皮膚手術の特徴と注意点

皮下組織の手術の特徴

  • 犬猫ともに腫瘍性疾患の発生頻度が高く、皮膚外科の主な対象となります
  • 猫の咬傷による皮下膿瘍は特に多く、日常診療で頻繁に遭遇
  • 皮膚が薄く伸展性が低い動物種(例:猫)では縫合・再建技術がより重要です

術前・術後の注意点

  • 術前生検・細胞診:特に腫瘍では術式決定のために必須です
  • 術後管理:感染予防、抗菌薬投与、エリザベスカラー装着による自己損傷防止など
  • 全身麻酔が必要になるため、高齢・基礎疾患のある動物では慎重な麻酔計画が必要です

手術設備・入院設備

当院では、外科手術を必要とする症状でも、院内で対応できるように様々な医療機器・設備を整えています。

院内に手術室を設置

専用の手術室を設け、滅菌設備、無影灯、専用手術台、麻酔モニタ、麻酔器・気化器・人工呼吸器など、手術に必要な設備を整えています。十分な検査の後にこちらで手術を進めます。

入院設備・ICUを導入

処置後・手術後に安静に回復を図れるスペースとして、専用の入院ケージをご用意しています。また、酸素濃度・温度の調整可能で、治癒力を高められるICU設備も導入しています。

ドクター・院内の様子

経験豊富な医師が担当

当院の獣医師は、10年以上の臨床経験を持つ経験豊富な医師です。
様々な症状を自院で対応したり、外科経験を活かすのは勿論、動物・飼主様に優しく丁寧な施術・接客をご提供致します。

綺麗な院内、サロン・ホテルも併設

当施設は、トリミング・ホテルが併設して病院とも連携しているので、お預かりの際は動物の体調や皮膚の状態など合わせて見させて頂きます。
一つの施設で完結するのでぜひご利用下さい。

料金・ご案内

動物病院の多くは、事前に価格が知ることができない状況です。当院ではそのようなご心配・ご懸念がないよう、事前に料金の目安を飼主様が知ることができるように明朗な料金案内に努めます。

料金表一覧についてはこちら

記載がない内容も対応していますので、お問い合わせ下さい。

お気軽にご予約ください。

Tel: 03-6712-7062

診療時間:10:30〜13:30、14:30〜19:30

※予約は診療30分前に締め切りとなります

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